2005年07月22日

師走(1)

 汝鳥学園の、職員室。
 堀サワンの前に座る人物は、血色の悪そうな顔で、デスクにバインダーを置く。
「アタシはワンランク上げてもいいと思いマスね。最近模試の成績もよくなってきてるみたいデスし」
「またまたぁ」
「いや、お世辞じゃなく。さりげに勉強はきちんとやってたんデショ。何時もいっぱいいっぱいな感じだったから、勉強できてないかなとか心配してたんデスけど」
 サワンは苦笑いの表情を浮かべる。
「やりたいことが、ありますんで」
「まあ、受けといても悪かないデショう。そうデスね、養護をやるんならこのあたりでどうデス?」
 ウォレスは手にした大学リストから幾つかの大学を選んで赤丸をつける。
「うーん、受験料かかるしなぁ。まあ、考えてみます。あ、あと、それから、先生」
 ウォレスが顔を上げる。
「ん、何デス?」
「最近先生、体の調子とか悪いトコとかないですか?」
 ウォレスは一度目を見開いて、瞬きした。
「え、何でデスか?」
「いや、その。どことなく元気無さそうに見えたもので」
「いやデスねぇ、サワンさン。アタシゃ至って健常体デスよ。悪い所なんて、こっちが探してるくらいだ」
 ウォレスはそう言うとへらへら笑った。サワンは目を細めて、そんなウォレスの顔を凝視する。
(そうは言いますがね、先生。目に生気が宿ってなさ過ぎですよ)
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